私たちが考えたこと 2/3

3.社会性の発達

将来自立した生き方のできる社会人となるために、子どもは成長に伴い、一番の保護者である母親から離れつつ、同年齢や異年齢の縦横集団と交わりながら社会性を身につけていきます。その母集団が、同じ言語を使う集団であれば更に望ましい環境となります。
聴覚に障害のある子どもの場合、住居の周囲には、そのような環境は期待できません。さらに、住居のある地域での子ども集団は、日々幼稚園や学校で共に生活している子ども同士で構成されています。そこには、他所者である、ましてや異なる言語を使用する聴覚障害児は、なかなか入りにくい。一方、ろう学校は、聴覚に障害のある子どもたちが、心おきなく、安心して、遊べる、勉強できる、生活できる施設と空間と集団を備えているのです。

4.ロールモデルとしての聴覚障害成人との触れあい

ろう学校といえども学校に聴覚障害のある大人は、教師として一人ないし二人くらいが働いているのが現状です。聴覚に障害のある子どもたちは、学校以外での聴覚障害成人に接する機会は殆ど無いに等しい。様々な年齢の聴覚障害者にボランティアとして係わってもらうことで、子どもたちは自分の将来の姿やあり方を自然に理解することが出来、アイデンティティーの確立にも大きな力を発揮すると考えました。

関連記事