子どもが聞こえないと分かった時

 赤ちゃんの誕生は,人生の中でも指折りの幸せな時期です。
 そんな時期に「もしかしたら聞こえないかも知れない」と告げられると、親御さんはどのような気持ちになるのでしょうか。
 聴覚障害児をもつお母さんの声を聞いてみましょう。

Q.一番始めにお子さんの難聴が分かったのはどういうきっかけですか?

生まれた病院でのスクリーニング検査で三日目にリファー(要再検査)という事でした。

Q.どういうお気持ちでした?

その時はポーッとしてああそうなんだなという位にしか感じてなくて、徐々に気持ちが沈んで来たというか、どうしよう、どうしようということで、最初に家族にどう話そうかなという・・・

Q.お母さんだけが聞かれたんですか?

はい、私だけ聞いて・・・この先聞こえているかもしれないし、分からないのでという説明を受けて、ああそうかぁと思って・・・主人にどう話そうかなとか、そういう事を考えました。三ヶ月くらいしないと聴力は分からないので、またその頃に来てくださいという説明でした。

Q.三ヶ月間宙ぶらりんな状態?

すごく辛くて。実感するという事は全くなかったのですけれど、だんだん考え出してしまうと止まらなくなってしまって、どんどん気持ちが沈んで沈んでとなって・・どうしたら良いんだろうと毎日悩みました。
昼間はお姉ちゃんたちがいて忙しく仕事をしていたのですけれど、夜になると皆が寝てしまって隣をこう見ると、だんだん涙が止まらなくなってしまって・・どうしたら良いんだろう、この先この子をどうやって育ててあげたら良いんだろうという事ばかり毎日悩んで泣いていました。


Q.初めてお子さんが耳が聞こえないと分かったきっかけというのは、やはり新生児聴覚スクリーニングなんですか?

うちは新生児聴覚スクリーニングに引っかかりませんでした。ことばが遅いというのがあって、様子を見ていたのですけれど、小児科の先生に相談したら3歳ぐらいまではことばは個人差があるし、ことばが出てこない子もあるので様子を見て良いと言われたので様子を見ていたのですが・・やっぱりことばが遅いなというのを感じて。

Q.何歳ぐらいから「あれ、うちの子ちょっと、もしかしたら」?

1歳半検診の時に周りのお子さんを見てすごい喋っている子ばっかりで「うちの子はちょっと違うな」って感じて、気軽な気持ちで耳鼻科受診してみようと思いました。耳鼻科受診したらどんどん大きな病院を紹介されて、耳の検査をしたらやっぱり「聞こえが悪い」「聞こえてない」と言われて。本当にびっくりして「聞こえてないの?」と本当に思いました。「どう育てていいのか、この子とどういうふうにコミュニケーションをとってゆけばよいのか」というのが一番不安でした。


乳幼時期の親子関係は人への信頼関係や心理的安定の基礎を作る大切な時期です。保護者が不安な気持ちのままの子育てはその後の子どもの成長に大きな影響を及ぼします。保護者の気持ちを支え、安心して子育てに向かわせるところから、ろう学校の乳幼児教育相談ははじまります。

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