子育てについて

Q4.どんなことに気をつけて子育てをすればいいのですか?

 リファー(要再検査・要精密検査)ということの意味は分かったけれど、では赤ちゃんをどう育てたらいいか、精密検査がまだ少し先のことだとしたら、それまで何をしたらいいか分からない、というご両親も多いかと思います。けれど、何か特別なことをやる必要はありません。子育ての基本は、どんなお子さんでも同じだからです。

 お兄ちゃん・お姉ちゃんを育てられたご両親ならば、こう聞くと「ああ、上の子と同じなんだ」と、分かることでしょう。けれど、初めてのお子さんを授かったご両親は、これから自分の子どもを通して経験していくことなので、分からないかもしれません。そこで、これから、子育てをする上で基本的に大切なことについてお話ししようと思います。

①赤ちゃんの世話をし保護すること
 人間の赤ちゃんは、他の動物の赤ちゃんと違い、自分から動いて母親の所に行って、お乳を飲んだりするような能動的な関わりはできません。泣くことで誰かを呼び、「おなかがすいた」「何か気持ち悪い」と訴えるだけです。そこで、母親はおっぱいをやったり、おむつを替えたり、抱っこして寝かせつけたりするわけです。後、赤ちゃんはすやすや寝ているだけです。このように赤ちゃんは、寝ること・泣くこと・飲むことが大半です。従って、その世話をして保護することが育児の中心になります。でも、これらの世話が大変なんですよね。新米ママは、きっとヘトヘトになっていることでしょう。自分一人でゆっくり眠りたいと思っているかもしれません。子育て経験者のほとんどの人は、みんな同じ気持ちだったと思います。まず、この大変さが育児の内容です。

②赤ちゃんを知りましょう
 赤ちゃんは泣くことが、自分の気持ちを表す手段です。その気持ちを分かってあげるのが、世話をする者の役割です。どうして泣いているのか、どうしてぐずっているのか、泣き方・ぐずり方・表情の違いが、世話しているうちにだんだんと分かってくることでしょう。

③赤ちゃんの欲求を満足させ、快い気持ちにさせましょう
 赤ちゃんが泣いたら、「どうしたの?」「おなかがすいたの?」「おしっこかな?」等と話しかけ、その時の欲求に応えながら「すっきりしたね」「もうおなかいっぱいになったかな」等、一人二役で話しましょう。同時に、抱っこしたり、ほおずりしたり、リズミカルにゆすったり、トントンと軽くたたく等のスキンシップをたくさんして、快い気持ちを体験させましょう。すると、赤ちゃんも「心地いいよ」と、ほほ笑みを徐々に返してくれることでしょう。

④穏やかな愛情たっぷりの笑顔で育てましょう
 いかがですか?①~③の子育てをしていると、最初は大変さだけのようでしたが、だんだんわが子がかわいいと思い、眠っていてもあくびをしていても、ましてや笑ったりしたら、見ているだけでほほ笑みたくなるのではないですか。赤ちゃんはご両親の愛情をいっぱい受け、ご両親の笑顔を見て幸せな気持ちで育つことで、心を安定させ、まわりの人からの働きかけを受け止められるのです。

⑤通じたという体験をたくさんさせましょう
 赤ちゃんは、2カ月頃になると、母親のいろいろな働きかけ(話しかけ・抱っこ・あやす・見る・ベビーサイン等々)に、じーっと見返したり、「アー」とか「クック」とか、まるでお話しするように声を出したりします。そんな時、目と目を合わせて、赤ちゃんと同じように声を出したりして、「分かったよ」ということを伝えてあげましょう。そして、お母さんがそんな赤ちゃんを見て感じた気持ち(かわいさ・喜び等)を自分らしい表現(例えば、キスをする、ほおずりする等)をふんだんに使って、赤ちゃんに示しましょう。
このやりとりがコミュニケーション発達の土台になります。

※ベビーサインとは、赤ちゃんとお話しする時に使う、簡単な身ぶりや表情のことです。例えば、哺乳瓶を持つ動作で“ミルク”のサイン、おむつの前をトントンとたたいて“おむつを替える”のサイン、バイパイと手を振るのもサインの一つです。
※『ベビーサイン/グーとパーだけで赤ちゃんと会話』近藤偵子著毎日出版社1,257円(税込)
※『ベビーサイン/まだ話せない赤ちゃんと話す方法』リンダ・アクレドロほか著(たきざわあき訳)径書房1,491円(税込)

⑥一人で悩むのはやめましょう
 いつも笑顔の穏やかな気持ちで、楽しく育てたいと思っても、いつもそのようにできるとは限りません。疲れている時もあれば、やはり心配になってしまう時もあるでしょう。そういう時は一人で悩まず、まわりの人や専門家に援助を求めましょう。赤ちゃんはご両親だけで育てなければいけないものではありません。また、ご両親の力だけでは育たない面もあるのです。話を聞いてもらうだけでも、考えが整理できて落ち着くものです。遠慮なく声をかけて、援助してもらいましょう。

⑦お兄ちゃん・お姉ちゃんにも配慮が必要です
 赤ちゃんにお兄ちゃん・お姉ちゃんがいる場合、小さな家族が増えたという喜びと同時に、自分への注目が減ってしまったというさびしさがあることと思います。そこへさらに、聞こえないかもしれないということでご両親が心配そうにしていて、病院や相談に行くことで忙しそうにしていると、お兄ちゃん・お柿ちゃんが不安定になってしまうことがあります。小さなお兄ちゃん・お姉ちゃんは言葉で表現できない気持ちを、甘えたり、すねたり、ご両親を困らせたりすることで表すかもしれません。大きなお兄ちゃん・お姉ちゃんは、かえって聞き分けよく無理ながまんをしているかもしれません。“あなたも大事な子どもだよ”ということが伝わるように、言葉かけやスキンシップを忘れないようにしてあげてください。

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